■琉球新報2000年3月4日付夕刊に掲載 

膵臓に指先大の陰

問い  血糖値が少し高めだと指摘されて昨年八月に入院しました。その時に、レントゲンとCT検査を受けたところ、膵臓(すいぞう)に指先大の小さな陰があると言われました。主治医に手術で治せないかと聞くと、はっきりした返事はなく、「がんでしょうか」と聞くと「がんではない」と言います。様子を見ましょうとのことですが、夜寝る時に上胸、胃のあたりに突っ張った感じがあり、心配でなりません。他の病院を受けた方がいいのでしょうか。

 (72歳・女性) 

2種の疾患考えられる/変化を定期的に検査して
答え
 膵臓は胃の後ろ側の上腹部を約十五―二十センチ横に走る細長い臓器で、腹腔(ふっくう)内でも最も背中側にあります。したがって胃や大腸のように直接カメラでの観察ができないので、消化器の中で最も診断のしにくい臓器といわれています。
 以前は膵臓の病気、特に膵臓がんは初期の段階では無症状のことが多く、腹痛、体重減少、黄疸(おうだん)などが現れると、相当進行していることが多かったのです。
 しかし最近では、超音波検査や腹部CT検査などが割合手軽に行われるようになり、人間ドックや他の部位の検査時に、膵臓の小さな異常や膵臓がんが指摘されることも増えてきています。
 今回の相談は「膵臓に指先大の小さな陰が見つかった」ということですが、CT検査で膵臓に「小さな陰」というと次の二つの場合が考えられます。
 @膵嚢胞(のうほう)性疾患=膵臓内の液体を含んだ袋状の出来物です。膵臓炎や先天性の原因でほとんどが良性の非腫瘍(しゅよう)性膵嚢胞と、比較的悪性度は低いものの時には悪性を示す腫瘍性膵嚢胞とがあります。
 A実質性膵腫瘍=インスリノーマなどホルモンを分泌する細胞から発生し、大部分が良性の膵内分泌腫瘍と膵臓がんがあります。
 まず膵嚢胞性疾患は超音波検査やMRI検査が威力を発揮します。特に近年注目されている超音波内視鏡(EUS=胃カメラに超音波装置がついているもの)や膵管内超音波検査(IDUS=膵臓の管内に超音波装置を挿入)によって鑑別が容易になってきました。
 実質性膵腫瘍の膵内分泌腫瘍は血中ホルモン量の測定やヘリカルCT、血管造影で診断がつきます。
 膵臓がんは消化器がんの治療の歴史の中で最も治療成績の向上が悪いため、いかに小さい時期に発見するかいろいろと検査法が開発されてきました。以前は、がんの疑いがあるとERCP(胃カメラを使い膵管を造影する方法)がまず行われましたが、最近はEUS、IDUSに加え、MRCP(MRIを使用した膵管造影)などが導入され、さらに確定診断のために超音波や内視鏡を使った組織生検や膵液の細胞診なども行われます。
 今回相談の方の場合、おそらく超音波検査やCT検査で悪性を思わせる所見に乏しいとの主治医の判断で様子を見ることになったと思います。いずれにしても、しばらくの間「膵臓の陰」の大きさやその形の変化がないかどうかを定期的に診てもらう必要があると思います。


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