■琉球新報2000年2月26日付夕刊に掲載 

リュウキュウマツで花粉症?

問い  大阪に住んでいた十三年前から、ひどい花粉症で悩んでいました。十年前に沖縄に引っ越し、花粉症から解放されると喜んだのもつかの間、三年前から毎年十一月ごろにひどい症状が出て、仕事もままなりません。両鼻は詰まり、鼻水は流れっ放し、目や耳はかゆく、まぶたの裏ははれ上がり、微熱が続き、せきもひどく、集中力もありません。この時期に花粉を飛ばすリュウキュウマツのせいではないかとも言われました。家では空気清浄器で何とかなりますが、外に出ると最悪。いい対処法はありませんか。

 (38歳・女性) 

ハウスダストの可能性/耳鼻科で抗原検査を
答え
 花粉症とは、花粉によって引き起こされる鼻や目のアレルギーです。わが国では春に発症するスギ花粉症が花粉症の代名詞になっていますが、欧米では秋に発症するブタクサ花粉症が古くから知られています。
 花粉症を含むアレルギー性鼻炎は近年増加の傾向にあるとされていますが、その要因として戦後のスギ植林によるスギ花粉の飛散量の増加、家屋の密閉化によるイエダニの増加、大気汚染、食生活の変化、社会の複雑化によるストレスの増加などが考えられており、寄生虫感染率の減少が関与しているというユニークな説もあります。
 すべての花粉が花粉症を引き起こすわけではなく、花粉症を引き起こす花粉の条件としては、その花粉が抗原性を有すること、原則として風媒花の花粉であり、花粉の飛散量が多いこと、その植物が広く分布することなどが挙げられています。
 沖縄県は花粉を飛ばす植物が少ないせいか、あるいは小さな島のために花粉がすぐ海に飛ばされるせいか、花粉全体の飛散量が本土に比べてかなり少なく、代表的な花粉症であるスギ花粉症やブタクサ花粉症もないとされていますので、花粉症の患者も少ないと思われます。
 沖縄県特有の花粉症としては、筆者らが報告したモクマオウ科花粉症がありますが、患者数はそれほど多くはないと思われます。
 質問者の場合、十一月に症状がひどくなり、リュウキュウマツが原因ではないかと言われたとのことですが、その可能性は低いと思います。リュウキュウマツは確かに花粉の飛散量は沖縄県では最も多いのですが、飛散のピークは二―三月であり、またマツ科花粉は抗原性が低いとされており、花粉症症例の報告も少ないからです。
 もし花粉が原因とすれば、十―十一月にピークを示すススキやサトウキビなどのイネ科花粉、ヨモギ属花粉、イラクサ科花粉などが疑われます。
 また、スギ花粉症の患者はハウスダストとの重複抗原性を示す例が多いといわれていますが、質問者の場合にもその可能性が考えられます。沖縄県のアレルギー性鼻炎患者の大部分はハウスダストが原因とされ、一般には通年性であるハウスダストアレルギーも季節の変わり目に症状が悪化することが多いからです。
 特殊な抗原の検索は無理ですが、代表的な抗原は簡単な血液検査で調べられますので、一度近くの耳鼻科医で相談されることをお勧めします。


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