■琉球新報2000年2月19日付夕刊に掲載 

出産後、子宮が下がった

問い  おととし十一月、初産の三日後に六歳のめいを中腰で抱いたため、翌日、子宮が下がっていると診断されました。安静にしたら戻ったのですが、退院二カ月後にまた下がってしまい、以来ずっとそのままです。病院では「気になるなら、子供を産み終わった後、子宮を取るしかない」と言われました。下がっているのが自覚でき、歩く時にも違和感があります。もう一人子供が欲しいのですが、妊娠できるか不安です。子宮を取らずに治すことは難しいのでしょうか。産み終わってから取っても大丈夫でしょうか。

 (35歳・女性) 

<答えるドクター>
稲福薫(沖縄赤十字病院産婦人科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

子宮下垂か子宮脱/手術以外の治療法も可能
答え
 文面から推測しますと、子宮下垂か子宮脱のことと思われます。子宮が正常の位置から下がって膣(ちつ)内にとどまつているものを子宮下垂、さらに下がって膣外に出ているものを子宮脱といいます。
 原因は主として、分娩(ぶんべん)により子宮を支える組織が緩んだり切れたりすることによって発生します。それに加えて、産後の疲労などのいわゆる「肥立ちの悪さ」がたたって悪化することもあります。
 治療法としては、程度の軽いものでしたら手術によらない方法で治ることもあります。
 まず運動療法として、骨盤の出口の筋肉を強化することにより子宮脱を矯正する方法があります。
 薬剤では、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)という漢方薬が有効なことがあります。私の経験では約半数の方に有効でした。
 また、全身的な虚弱体質なとが原因であることも多く、このような場合には漢方薬に加えて針きゅうなどの東洋医学的治療が有効なこともあります。この場合、試みに二―三週間治療してみて「少し良くなったみたい」という感触があったら治療を続けることです。このような慢性の疾患を手術によらずに治すには、長期間にわたって「少し良くなった」という感じを気長に積み重ねていくことです。
 また、日常生活での慢性疲労が症状の悪化につながったり、治療に反応しない原因となったりすることも少なくありません。翌日に疲労を残さないような十分な睡眠、適度な運動など、活力ある日常生活を送ることはきわめて大切なことです。
 子宮脱による不快症状をとるためにペッサリーという輪状の器具を膣内に挿入して装着する方法があります。外来診察時に簡単に装着できます。これにより子宮の位置は元に戻り、不快症状は解消します。子宮下垂や子宮脱があるからといって出産時に問題が起こることはありませんが、妊娠すると不快症状が増強することがあります。このようなときにもペッサリーを装着すると症状が軽快します。また、ペッサリーが妊娠に悪い影響を及ぼすことはありません。
 もう子供を産む予定はないという方、あるいは前記の治療法で効果がない方には手術をお勧めします。手術方法としては子宮を摘出したり、緩んだ子宮の支持組織を縮めて位置を直す方法があります。これらの手術による体への悪い影響はほとんどなく、手術を受けられた方はむしろ長年の不快症状から解放されて、皆さん異口同音に「すっきりした。もっと早く手術を受けていれば良かった」と喜びます。


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