あがり症(社交不安障害)

古内重雄・ゆめクリニック(2019年4月10日掲載)

チャレンジする勇気も


 皆さんはあがり症でお困りではありませんか?


 スピーチやプレゼンテーションの時、心臓がドキドキする、声や手が震える、冷や汗をかく、人に見られていると字が乱れてしまう。誰でも多かれ少なかれ経験はあると思います。


 しかしそうなることを恐れ、そういう場面を避けたり逃げたりすることを続けていると、行動範囲が制限されるだけでなく、うつ病に発展することもあります。


 このような状態になるのは、単に気のせいとか心が弱いとかではなく、不安を背景として脳内の神経伝達物質のバランスが乱れたことで、こころ的には認知(考え方)が一時的にゆがみ、からだ的には自律神経の交感神経が一時的に暴走していると考えられます。これらにはお薬で楽になる方法があります。


 以前は不安や抑うつには対症療法的に抗不安薬が用いられていましたが、今は癖にならない抗うつ薬の中でも副作用の少ないSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が主となり、不安だけでなく抑うつ症状も良くなるようになりました。


 次に身体症状について、交感神経の働きを調整するお薬であるβ遮断薬で、ドキドキしたり手や声が震えたりすることなく、話すことができるようになります。安定剤ではないので眠くなったりぼーっとしたりすることもなく、癖になる薬でもありません。安定剤や抗うつ薬の服用に抵抗のある方にも役に立ちます。


 お薬以外の方法もあります。行動を変えることで考え方や感情を変える認知行動療法や、暴露療法とも言われ、徐々に慣れさせるエクスポージャーなど、カウンセリングの方法です。お薬の服用と並行して受けることも有効です。


 治療を受ければ、制限を受けていた行動範囲が広がります。エクスポージャーも含めた認知行動療法はいわばチャレンジです。チャレンジする勇気が「自分らしさ」を取り戻し、よりポジティブな感情を生み出します。お心当たりのある方はお近くの精神科や心療内科にお気軽にご相談ください。勇気を応援します。

このページのトップへ