夜間頻尿の意外な原因

新垣 紀子・あらかき内科クリニック(2018年5月2日掲載)

睡眠時無呼吸


 大きないびきや睡眠中に呼吸が止まる、昼間に眠気が強いなどで知られている睡眠時無呼吸症ですが、この疾患の症状の一つに、夜間頻尿(睡眠中に何度もトイレに起きる)や夜尿症(おねしょ)があることはご存知でしょうか?


 ある患者さんは1時間に50回以上も呼吸が止まってしまう重症の睡眠時無呼吸症でした。CPAP(シーパップ=持続陽圧呼吸療法)を開始し、最初の外来です。


主治医「何か体調に変化はありましたか?」


患者さん「先生、実はおねしょが治りました」


主治医「えーっ、おねしょですが?」


患者さん「大人なのにおねしょをしているなんて誰にも言えなかったのです」


この患者さんは防水シーツを敷いて眠っていたそうです。


 ある患者さんは夜、トイレに何度も起きてしまうのは年のせいだとあきらめていました。泌尿器科で検査をしても異常はありません。ところが睡眠時無呼吸と診断されCPAPを開始したところ、夜のトイレの回数が減り、ゆっくり眠れるようになったのです。


 CPAPとは、鼻に装着したマスクを通して設定された陽圧(空気)を気道に送り、気道を広げて喉がふさがらないようにする治療法で、中等以上の閉塞(へいそく)性睡眠時無呼吸症のスタンダード治療となっています。


 睡眠時無呼吸症で胸腔(きょうくう)内圧(肺を外に引っ張る力)が強くなり、心臓に戻る血液が増えます。これが心臓の右心房を膨張させるため、心房性ナトリウム利尿ペプチドというペプチドホルモンを増やすのだそうです。また低酸素自体や虚血状態もこのホルモンを増やすといわれています。利尿ホルモンですから睡眠中に何度もトイレに起きてしまうというわけです。腹圧も強くなり膀胱(ぼうこう)にまで圧がかかるため夜尿症の原因にもなっているのです。


 夜間頻尿で困っている方、大人なのにおねしょをしているなんて誰にも相談できないと悩んでいる方は、一度、睡眠時無呼吸検査を受けることをおすすめします。

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