子どもの目のクマ

石川秀夫・石川眼科医院(2016年3月8日掲載)

筋トレで症状緩和を


 近年目にクマの目立つ子どもたちが増えています。眼科の外来で視力低下やちょっと充血するという、眼科的に軽い自覚症状の子どもたちにも大勢いるのです。私も10年以上前に10歳前後の目のクマの子どもの相談を受けた時、明確な答えが出せなくて困ったことを覚えています。毎日毎日、睡眠もたっぷり取っている健康的な子どものクマについて母親が心配して「どうしてこの子はクマが消えないのですか?」と質問されたとき、その原因がなぜなのか答えられなかったのです。


 今のところ「クマの原因は睡眠不足」とわれわれ医者も含めてすべての人が思っています。「目のクマ」は、医学的な病名ではないので何科のドクター(美容外科以外)もあまり真剣に診てくれないのです。


 クマが起きる原因は「目の周りの皮膚の薄さ」と「目の周りの血行不良(うっ血)」という答えはすぐに見つかるのですが、なぜ「血行不良」になるか正しい答えはどこにも書いてありません。しかし、これら目にクマのある大勢の子どもたちの瞬目(まばたき)をビデオに撮ってスロー再生やコマ送り画像で注意深く見ると、瞬目がきちんと閉じていないことに気が付きました。瞬目不全という状態です。特に下まぶたが顔面神経麻痺のようにほとんど動いていないのです。


 筋肉は収縮伸展を繰り返すことによって筋肉内部に張り巡らされている毛細血管の血液を静脈側へ積極的に押し出す、という働きをします。足腰の筋肉は第2の心臓といわれるゆえんです。眼輪筋、特に下まぶた側の眼輪筋の筋肉が正しく動いていないのでその部分にうっ血が起きるのです。ドライアイの始まりなのですが、低年齢では自覚症状も軽く徐々に悪循環は進行し、成人するころドライアイの自覚症状がはっきり表に出てきます。眼輪筋が正しく動くような訓練が必要です。


 子どもたちの全身の筋力低下を指摘する記事がよく見られます。猫背もその一つです。現代っ子は鉛筆も2B、3Bが普通で、昔われわれが使っていたHBでは筆圧が弱くて先生方が読めないのだそうです。眼輪筋の筋トレだけにとどまらず全身の筋トレが今の子どもには必要なようです。

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